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[環論] ユークリッド整域で陥った詭弁

今回も環について知っていないと分からない話をします。

群・環・体の勉強で、特別な環であるユークリッド整域について学び始めました。
とりあえず定義だけ読んだのですが、以下のような定義となります。

なお、本に書いてありましたが、普通の定義より強くしているそうです。

任意の整域(A,+,×)に対してa∈Aを非負整数に対応付ける関数H(x)で次のような条件を満たすものが存在する整域をユークリッド整域と呼びます。

1. H(0) = 0かつH(a) = 0ならa = 0 (0は加法の単位元)
2. a ≠ 0かつb ≠ 0なら、H(a×b) >= H(a)かつH(a×b) = H(a)となるのはbが単元のときのみ

3番目の重要そうな条件もあるのですが、ここでは使わないので省略します。
このH(x)をxの高さと呼びます。

そして、a∈Aとb∈Aの公約元xの中で高さが最大になるものを最大公約元と呼びます。
公約元は普通の環でも存在する概念ですが、最大公約元はユークリッド整域でないと存在しない概念ですね。

そして、aとbの最大公約元が単元であるときaとbは互いに素であるといいます。
つまり互いに素であるというのもユークリッド整域でいえる概念なのですが、私はそれに違和感を覚えたわけです。




a ≠ 0かつb ≠ 0のとき、
aとbの公約元が単元しか存在しないことと、aとbの最大公約元が単元であることが同値であることを証明します。

頑張って考えました。

まず、公約元が単元しか存在しないなら最大公約元が単元であることですが、これは存在する公約元の中で高さが最大のものを取ってくるわけで、全部が単元なのですから自明です。

次に、最大公約元が単元であるなら公約元が単元しか存在しないことですが、ひとつ補題を証明します。


すべての単元でも0でもない元はすべての単元より高さが大きいことを証明します。
単元でも0でもない元をxと置いて単元をyと置くと、yはすべての元の約元なのですからx = y×x'と表せます。
よってユークリッド整域の関数Hの定義の2.により、H(x) >= H(y)です。
(単元yも単元なので0ではありません。)

ところで(単元)×(単元) = (単元)ですが、y×x' = xは単元でないのでyとx'のどちらかが単元ではありません。
yは単元なので、x'が単元ではありません。
関数Hの定義の2.より、H(y×x') = H(y)となるのはx'が単元のときのみですが、x'が単元でないのでH(x) ≠ H(y)です。

よってH(x) > H(y)が、任意の単元でも0でもない元xと任意の単元yにおいて成り立ちます。


もとの証明に戻ります。
単元である最大公約元より高さが小さいような、単元でない公約元が存在すると仮定します。
しかし補題より、単元でない公約元は単元である公約元より高さが大きいはずなので、矛盾します。
(単元でない公約元が0の可能性はどうかというと、0でない元の約元は0になりえません。)
よって最大公約元より高さが小さいような、単元でない公約元は存在しません。

つまりは、最大公約元が最大の公約元なので、それより大きい公約元はないですし、それより小さい公約元は単元であるので、すべての公約元が単元であることが証明されました。


a = 0かつb = 0の場合は、すべての元が公約元となりますから最大公約元という概念を扱えません。
a = 0かつb ≠ 0の場合は、bが最大公約元となります。

後者の場合もa ≠ 0かつb ≠ 0の場合と同様の証明で、公約元が単元しかないなら最大公約元は単元ですし、最大公約元が単元なら公約元は単元しかありません。



さて、これで私がどう思ったかというと、別に関数H(x)を導入しなくても、代わりに公約元が単元しか存在しないという条件にすれば、互いに素という概念を定義できるんじゃね?ということです。

それがH(x)を用いた互いに素という概念と同値になるわけですから。

つまりは整域でいいだろうと。
(整域でない環の場合は、後述のように問題が起こります。)
本にはユークリッド整域の条件を満たして初めて互いに素という概念が定義できるみたいに書いてるけど、ちゃうやんけと。

しかし、よくよく考えてみればこれらが同値になることの証明に関数H(x)の性質を用いていたわけですね。

ただの整域ではH(x)を導入できるとは限らないので、そもそもこれらが同値にならない可能性がある。
そうなってくると、整域の範囲で上手いこと、互いに素であることを定義する条件を作成することはできないと思いますね。

私が詭弁でした。本が正しかったわけです。


というわけで、最初に互いに素という概念を整域でも定義できるんじゃないかなと思って、証明してみて、でも企画倒れだったんですが、

まったく意味のない定理を考えだしたわけではないですね。

関数H(x)が導入できるヤツ、つまりユークリッド整域においては、互いに素であること、最大公約元が単元であることと、公約元が単元しかないことが同値であるといえますから。

なにかに使える定理かもしれないでしょう。


ちなみに、整域には関数H(x)を導入できますが、整域でない環には導入できません。

なぜなら、関数Hの定義の2.より、
a ≠ 0かつb ≠ 0のとき、H(a×b) >= H(a)
なわけですが、整域でないのでa×bが0になることがあります。

そのとき、関数Hの定義の1.より、
H(a×b) = 0
ですが、同じく関数Hの定義1.より、H(a)は0になりえないので、
0 >= (0より大きい数)という式を導けてしまい、矛盾します。

これもちょこっと考えました。


他にも、すべての単元の高さは等しいという定理も思いつきました。

単元a,bにおいて、bは単元なのでa = a'×bとなるa'が存在するので、
およびa' = 0ならa = 0になってしまうからa' ≠ 0なので、関数Hの定義より
H(a) >= H(b)です。

一方で、aは単元なのでb = b'×aとなるb'が存在するので、
およびb' = 0ならb = 0になってしまうからb' = 0なので、関数Hの定義より
H(b) >= H(a)です。

よってH(a) = H(b)です。



いや~、しかし、この五月は数学4部作を執筆しました。
だいぶ数学の色が濃くなった月でしたね。
全部が数学ネタという。

まあ、そのうちのひとつは記事「数学ネタは人気が出ないのか…」で、直接的に数学について書いたわけではないですが、最後にちょっとだけ数学を書いています。

証明も、以前と比べたら、ほんの少しですが思考のパターンみたいなものを見出すことができるようになってきました。

このまま証明力が身に付いてくればいいんですけどね~。

tag: 数学 勉強 群環体 素数 証明 約数 論理 ユークリッド

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