ブログ「サイバー少年」

ブログ「サイバー少年」へようこそ!
小学六年生ごろからプログラミングを趣味にしている高校生のブログです。
勉強したことについての記事などを書いています。フリーソフトも制作、公開しています。
(当ブログについて詳しくは「ブログ概要紹介」を参照)

サイバー少年が作ったフリーソフトは「サイバー少年の作品展示場」へ

ユークリッド整域における元と高さの関係

先日に書いた記事「ユークリッド整域の素元分解可能性について自分なりに補足」で


つまりH(x) = 0のところにx = 0が、H(x) = 1のところに単元のxが、H(x) = 2のところに単元と素元のxが、H(x) > 2のところに単元、素元、いくつかの素元の積がすべて分布してる感じですね。


と記述しました。

「単元と素元~」みたいな言い方をANDと解釈するなら間違いですが、まあORと解釈するなら間違った主張ではないんですけどね。

ただ、たとえばH(x) = 2のところに単元または素元のxが分布しているという主張ですが、これは正しくはH(x) = 2となるxについて、それは単元または素元である、という主張にするべきでした。

前回の言い方だとH(x) = 2となるxが必ず存在するかのような主張となっています。


そして、その他の点でも非常にナンセンスな表現であるということに気が付きました。
後述しますが、まず単元はそんな色んなところに分布してなくて、すべて同じ高さのところにあります。

あと、前述のようにORで解釈するなら間違いではないのですが、この主張を読んだときにイメージするのはH(x) = 2のところに素元となるxがあって、H(x) > 2以降において素元の積のxも含まれてくるという感じだと思います。

そのイメージは間違いですが、主張自体は間違いではないので、たしかに読み手が悪いと言えばそうですが、私の書き方にも問題があると思いました。


それは、1という数、2という数を定数として決定してしまっているところです。
実際は定数は決定せずに、色々な元に対する高さの大小関係だけをイメージしてもらえるような書き方にするほうが自然でした。

事の発端はYahoo!知恵袋で、整数に関数Hを導入したときに、H(x) = |x|ではなくH(x) = 2×|x|とすることも可能である、という指摘を受けたことでした。

このときH(x) = 2のところに単元があって、H(x) >= 4以降に素元などがあり、あとH(x)が奇数であることはありえません。

こんなように、定数はまったく変わってくるわけですが、大小関係は変わりません。
そこで今回は、元による高さの大小関係に着目して判明することを書いていきたいと思います。




まず、「任意の単元より高さが低い単元は存在しないこと(1)」を示します。
(単元xの逆元をx'と書くことにします。)

ある単元a,bについてH(a) > H(b)だとします。
b = a×a'×bなので、関数Hの定義よりH(b) = H(a×a'×b) >= H(a)となり、仮定と矛盾します。
よって、このような単元bは存在しません。


「任意の単元より高さが高い単元は存在しないこと(2)」を示します。
ある単元a,bについてH(a) < H(b)だとします。
bよりaのほうが高さが低いですが、「(1)」より矛盾します。
よって、このような単元bは存在しません。


「(1)」、「(2)」より、任意の単元は任意の単元より高さが高いことも低いこともない、すなわち「すべての単元の高さは同じであること(3)」が示されました。



次に、「任意の0でも単元でもない元は任意の単元より高さが高いこと(4)」を示します。
任意の0でも単元でもない元をa、任意の単元をeとします。
a = e×a'と表せます。
a' = 0ならaが0に、a'が単元ならaが単元になってしまうので、a'はそのどちらでもありません。

関数Hの定義よりH(a) = H(e×a') >= H(e)です。
関数Hの定義「H(x×y) = H(x)ならyは単元である」の対偶より、a'は単元でないので、H(e×a') = H(e)ではありません。
よってH(a) > H(e)です。

もしくは1は単元ですから、1よりaのほうが高さが高いことを示して、「(3)」から他の単元も1と高さが同じであることを利用すれば大幅に証明を簡略化できますね。



最後に、「任意の0でも単元でも素元でもない元より、高さが低い素元が存在すること(5)」を示します。
これは、冒頭でリンクを載せた先日の記事に示してある素元分解可能性を用いても証明できます。

任意の0でも単元でも素元でもない元aは、素元p_1,...,p_nを用いてa = p_1×...×p_nと表せますが、
p_1,...,p_nの中の任意のひとつをpとして、残りをq_1,...q_(n-1)と表します。
このときa = p×q_1×...×q_(n-1)となります。
pもしくはq_1×...×q_(n-1)が0だとするとa = 0になってしまうので、そんなことはありません。
「x_1×...×x_iが単元ならx_1,...,x_iはすべて単元であること」の対偶より、q_1,...q_(n-1)の中に単元でないものが存在する(というか全て)のでq_1×...×q_(n-1)は単元ではありません。

よって関数Hの定義よりH(a) = H(p×q_1×...×q_(n-1)) >= H(p)です。
関数Hの定義「H(x×y) = H(x)ならyは単元である」の対偶より、q_1×...×q_(n-1)は単元でないので、H(p×q_1×...×q_(n-1)) = H(p)ではありません。
よってpについて、H(a) > H(p)となります。


…ということですが、ここではあえて、素元分解可能性の証明と似たものとなってしまいますが、数学的帰納法により最初から証明します。
「(5)」を言い換えれば、「任意の元xが0でも単元でも素元でもないなら、xより高さが低い素元が存在すること(5')」になります。

H(x) > H(y)となる任意のyについて、yが0でも単元でも素元でもないならyより高さが低い素元が存在すると仮定します。
x = 0である場合、xが単元である場合、xが素元である場合は条件を満たさないので除外していいです。

xが0でも単元でも素元でもない場合、xは素元でないため単元であるか、x = a×bとなる単元でないa,bが存在するかですが、xは単元でないため後者です。
aまたはbが0だとすると、x = 0になってしまうので、そんなことはありません。
よって関数Hの定義よりH(x) = H(a×b) >= H(a)およびH(x) = H(b×a) >= H(b)です。
関数Hの定義「H(x×y) = H(x)ならyは単元である」の対偶より、bは単元でないためH(a×b) = H(a)ではない、またaは単元でないためH(b×a) = H(b)ではありません。
そのためH(x) > H(a)およびH(x) > H(b)です。

aまたはbが素元である場合、それはxより高さが低い素元となります。
どちらも素元でない場合、仮定から、a,bより高さが低い素元がそれぞれ存在します。
両方からひとつずつ取ってきてp,qとします。
このときH(x) > H(a) > H(p)およびH(x) > H(b) > H(q)となります。
よって、どちらにせよ、xより高さが低い素元が存在します。


さらにドミノ倒しのスタートですが、H(x) = 0のとき関数Hの定義からx = 0なので、条件を満たさず、証明すべき命題は真となります。

よって「(5')」は成り立ちます。



さて、以上の議論からユークリッド整域の元による高さの上下関係が分かります。
まず、関数Hの定義から0という元は高さ0のところにあります。

次に、単元は高さ0より上にある…と言いたいところなのですが、一概にそうとは言えません。
私が群・環・体の勉強に使っている本に書いてあったのですが、実は乗法に関する単位元1について1 = 0となる環がありまして、このとき、その環の要素は0だけになるそうです。

これを単位環と呼んだり呼ばなかったりすると本では書いてありますが、この単位環もユークリッド整域の条件を満たすと思います。
その場合、1は単元ですから、単元は0と同じ高さ、0のところにあるわけです。

ただし、単位環というのはメチャメチャ特別な場合ですので、単位環でない場合を考えましょう。


単位環でなければ1 = 0でありませんから、関数Hの定義よりH(x) = 0となるのはx = 0の場合だけですので、H(1)は0より高いはずです。
1は単元であり、「(3)」によると他の単元も1の高さと同じであるということですから、まず単元の高さがすべて判明しました。


続いて、0でも単元でもない元(素元かいくつかの素元の積)の高さですが、こういう元の存在も厳密には保証されているわけではありません。
実際、環より限定的な代数系の体はユークリッド整域の条件を満たしますが、体の要素は0と単元しかありません。
まあ、この場合も除いて考えましょう。

素元が存在すれば乗法は閉じていますので素元の積も存在しますし、素元の積が存在すれば分解していくと、少なくとも高さが2で素元となりストップすることは先日の記事で示しましたので、素元が存在します。


さて、「(5)」によると任意の0でも単元でも素元でもない元(いくつかの素元の積)より高さが低い素元が存在するらしいので、でも「(4)」によると、その素元の高さは単元より高いので、高さは単元といくつかの素元の積の間に位置するんでしょうね。

その素元の高さのところには素元しかないことになります。
その素元より高さが1つ高いところも素元しかない、もう1つ高いところも素元しかない、もう1つ高いところも…という可能性を除外できていませんので、そのような高さの範囲を「素元しかないゾーン」とでも呼んでおきましょう。


「素元しかないゾーン」より高さが高くなると、いよいよ、いくつかの素元の積も混ざってきます。
別に「(5)」の主張は「任意の素元は任意の0でも単元でも素元でもない元の高さより低い」ことではありませんので、ここには素元が混ざっていることもあります。
現に整数において4以降は、いくつかの素数の積も混ざり始めますが、それより高さが高いところにも5だの7だのと、いくらでも素数はありますよね。

ここを「素元と、いくつかの素元の積ゾーン」と呼びましょう。
このように素元や、いくつかの素元の積は単元より高さが高いですから、もし0と単元の高さの間が空いているとしたら、その高さのところに元は存在しません。

同様に、単元の高さと「素元しかないゾーン」の間が空いていても、そこには元は存在しません。
さらに高いところの「素元と、いくつかの素元の積ゾーン」についても、別にすべての高さのところに元がひとつは存在してなければならない、というわけではないですね。


というわけで、イメージで言うと
0<<単元<<{素元しかないゾーン}<<{素元と、いくつかの素元の積ゾーン}
という大小関係になります。


ちなみに、記事冒頭で取り上げました先日の記事で、おまけとして紹介した、いくつかの元と高さの関係も、今回の大小関係を用いても示すことができます。
H(x) > 0となるxが存在しているという前提から、想定しているユークリッド整域は単位環ではないことを意識してください。

「H(x) = 1ならxは単元」ですが、H(x) = 1だからx = 0ではない、xが「素元しかないゾーン」以降なら高さ1より低いところに単元を位置づけないといけないが高さ0のところに単元を位置づけられないので、それはありえないからxは単元です。

「xは0でも単元でもないならH(x) >= 2」は、高さ0と単元の高さをキチキチに詰め込んでも、「素元しかないゾーン」以降の高さは2以上になります。

「xは0でも単元でも素元でもないならH(x) > 2」についても同様に、高さ0と単元の高さと「素元しかないゾーン」をキチキチに詰め込んでも、素元の積が現れる高さは2より大きいはずです。

「H(x) = 2ならxは単元であるか素元」は、高さ0と単元の高さをキチキチに詰め込んだとしたら高さ2は「素元しかないゾーン」でxは素元、余裕を持って単元の高さを高さ2に位置づけたとしたらxは単元となります。


特に、最初の「H(x) = 1ならxは単元」を、私が読んでいる本のように「1をxで割る」という発想を使わずに示せたことは驚きですね。
誤謬が無ければの話ですが…。



今回もオールナイトほどではないですが4時間弱、執筆していました。
ブログは日常と化していますね。

四月にブログやめたら、どんな生活になるんだろう。

tag: 数学 群環体 ユークリッド 考察 勉強 関係 素数 証明 写像 帰納法

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
http://cyberboy6.blog.fc2.com/tb.php/513-3c23d495
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

当ブログをご利用(閲覧等)になる場合は必ず「当ブログの利用規定」をお守りください。