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中学生レベルの文字式に疑心暗鬼になる

インパクトのある記事タイトルを考えたら私は中学生未満と言っているような自虐的なものになってしまいましたが、
基本的なところから、あたりまえとされていることを疑ってみるのは重要で、数学徒として誇らしく思います。

さて、群・環・体の本で体に絡めた話として有理式の話が出てきました。
最初は多項式の分数バージョンで、とくに違いはないだろうと思っていたのですが、だんだんと奇妙な事実が発覚して疑心暗鬼になってしまったわけです。

まず、有理式ではなく普通の多項式における事実をおさらいしてみます。

1. あらゆる係数環の要素aについてf(a) = g(a)ならf(x) = g(x)
2. f(x) = g(x)ならf(a) = g(a)
3. (f(x)×g(x))(a) = f(a)×g(a)
4. (f(x)+g(x))(a) = f(a)+g(a)

すべて、証明したわけではないですが、公理なのかよくわかりませんが、直感的な事実として書きました。

ちなみに関係ないけど今、気づいたのですが、2.は多項式環から係数環への写像を導入できることを示していて、3.と4.と自明な(1)(a) = 1はそれが準同型写像であることを示していますね。

および、1.と2.から、多項式が等しいとは、変数になにを代入しても同じ値を得られるということである、ということなのだと読み解けます。

それでは同じことが有理式に適用できるかを確認してみましょう。

1/2という有理式に(x-1)/(x-1) = 1という有理式を乗算してみます。
1/2 × (x-1)/(x-1) = 1/2 × 1 = 1/2で、結局同じ有理式であるはずです。

つまり1(x-1)/2(x-1) = 1/2です。
約分したら同じですね。

これらが等しいということから、もし多項式と同じことが言えるのだとしたらxになにを代入しても等しい値になるはずです。

x = 0の場合、1(0-1)/2(0-1) = -1/-2 = 1/2、これはOKです。
x = 1の場合、1(1-1)/2(1-1) = 0/0、この時点でアウトです。
0/0は1/2と等しいどころか、分母が0なのでもはや数ではありません。

ここで有理式は変数に値を代入しても必ず結果の値を得られるわけではないことに気づいてしまいました。

しかも、等しい有理式に同じ値を代入したにも関わらず値を得られたり得られなかったりするときたもんですから、有理式が等しいという状態は多項式の場合と同じものだとはいえないようです。

一体、有理式が等しいとはどういうことを言っているのでしょうか。



その答えとして、有理式とは係数が整域の多項式から構成される分数体の要素、つまり多項式のペアが属する同値類が有理式だと考えるのが相応しいと思います。

分数体とは何かについては省略しますが、ということは2つの有理式がある分母と分子にあたるペア(f(x),g(x))と(h(x),i(x))で表現されていて、それが等しいということは、

2つのペアが同値、すなわちf(x)×i(x) = g(x)×h(x)であるということであります。
このときf(x)/g(x) = h(x)/i(x)と表記できるというわけです。


前述のように同じ有理式なのに変数に値を代入したら結果の値が一致しないことがあるので、有理式というものに対して値を代入するという操作は考えません。

代わりに、有理式を表現するひとつの多項式のペアに対して値を代入して、係数整域から構成される別の分数体に属する結果の値を得るということを考えることが出来ます。

ここで、まず(f(x),g(x))から(f(a),g(a))というペアへ写すわけですが、このペアは2番目の値が0では駄目なので、g(a) = 0でない場合に限り結果の値を得られるということになります。


というわけで、有理式ではなく、それを表現する多項式のペアに値を代入するのであって、その結果の値は同じ有理式であってもバラバラです。

では本当にバラバラなのでしょうか。
実はそうでもありません。

というのも、2つの多項式のペアが同じ有理式を表していて、2つのペアがどちらも無事に係数整域の値のペア、さらにはペアが表す分数体の値へ写せたのなら、それらは同じ値です。

つまり、等しい有理式を表す2つの多項式のペアにそれぞれ値を代入してみたら、どちらか若しくは両方が分母0になってお話にならないか、同じ結果の値を示すかの2択です。


それについて証明したいと思います。
多項式の性質を思い出して原点に立ち返ってみれば、至って簡単です。

まず、2つの同値な多項式のペア(f(x),g(x))と(h(x),i(x))があります。
代入する値aについて、g(a) != 0, i(a) != 0と仮定します。
この仮定が成り立たなければ係数整域の値のペアへと写せないので無視してよく、
成り立つならば係数整域の値のペア(f(a),g(a))と(h(a),i(a))を生成できます。

2つの多項式のペアは同値なので、f(x)×i(x) = g(x)×h(x)です。
多項式の性質2.より(f(x)×i(x))(a) = (g(x)×h(x))(a)です。
多項式の性質3.よりf(a)×i(a) = g(a)×h(a)です。

よって(f(a),g(a))と(h(a),i(a))は同値です。
つまりf(a)/g(a) = h(a)/i(a)となります。


さて、実はこのように深く有理式について考察することになった背景には、群・環・体の本を読んでいて、複素数の枠組みの中で有理数に√2を添加して新たな体を作るという話がありました。

それは有理数係数の有理式の変数に√2を代入した集合として表せて、さらにその集合は有理数係数の多項式の変数に√2を代入した集合と等しいと言われたもんですから、最初は意味不明だったのですが、要は分母の有理化のメカニズムだと思いますね。

ただ、証明するには分母の有理化の一言で済むものではなく、式変形を行わなくてはなりません。

式変形の際にまず有理数係数の有理式の変数に√2を代入した集合を
(c+d√2)/(a +b√2)で表せるとしていますから、もはや√2が変数なのではなく、a,b,c,dが変数の多項式に対しての式変形です。

このときに式と値が複雑に密接に絡み合った論理を扱っていたので、有理式の考察に至ったわけですね。


ここで式変形の最後が抽象的に言えば = f(a,b,c,d)/g(a,b,c,d)というものではなく = f(a,b,c,d)/g(a,b,c,d) + h(a,b,c,d)/i(a,b,c,d)×j(a,b,c,d)/k(a,b,c,d)という演算付きの式になっていました。

というわけで、多項式を演算してから代入した場合と、多項式に代入してから演算した場合について、結果の値が等しいかどうかも確認しないといけない論理展開になったんですね。

というわけで、確認できましたので、これも証明します。


まず乗算ですが、
(f(x),g(x))と(h(x),i(x))とそれらの積(f(x)×h(x),g(x)×i(x))について、aを代入すると(f(a),g(a))と(h(a),i(a))と((f(x)×h(x))(a),(g(x)×i(x))(a)) = (f(a)×h(a),g(a)×i(a))となります。
g(a) != 0およびi(a) != 0と仮定すると、g(a)×i(a) != 0でもあり、これらはすべて係数整域から構成される分数体の要素を表現するペアとして有効です。

ここで乗算の定義から(f(a),g(a))×(h(a),i(a)) = (f(a)×h(a),g(a)×i(a))であり、多項式を演算してからaを代入した場合と同じ値です。


次に加算ですが、同様に
(f(x),g(x))と(h(x),i(x))とそれらの和(f(x)×i(x)+g(x)×h(x),g(x)×i(x))について、aを代入すると、(f(a),g(a))と(h(a),i(a))と((f(x)×i(x)+g(x)×h(x))(a),(g(x)×i(x))(a)) = (f(a)×i(a)+g(a)×h(a),g(a)×i(a))となります。
g(a) != 0およびi(a) != 0と仮定すると、乗算と同様にすべてペアとして有効になります。

ここで加算の定義から(f(a),g(a))+(h(a),i(a)) = (f(a)×i(a)+g(a)×h(a),g(a)×i(a))であり、多項式を演算してからaを代入した場合と同じ値です。



いやはや、記号を書きすぎて疲れました。
ただ、頭でぼんやりイメージしているものも、記号で書けばハッキリして、正しいのかおかしいのかも明確ですから、記号って大事ですよね~。


以前は数学書などで解説を読んでいても理解できずに、「これずっと分からないんじゃないか」と不安になることが多々ありましたが、大抵のそれは時間をかければ理解できましたので、
最近は「今は分からないけど、ちゃんと向き合えばそのうち理解できる」と思って冷静に勉強を進めることが出来るようになりました。

まあ、今まで入門レベルのものしか読んだことがないので、本当に難しいものを知らないから言っていられることかもしれないですけどね~。

ただ、数学の勉強を続けてきて、多少ですがスキルアップしたなと感じる場面でした。

tag: 数学 群環体 分数 証明 多項式 同型 有理数 同値 順序組

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