ブログ「サイバー少年」

ブログ「サイバー少年」へようこそ!
小学六年生ごろからプログラミングを趣味にしている高校生のブログです。
勉強したことについての記事などを書いています。フリーソフトも制作、公開しています。
(当ブログについて詳しくは「ブログ概要紹介」を参照)

サイバー少年が作ったフリーソフトは「サイバー少年の作品展示場」へ


当ブログは3月31日をもって更新終了します。

イデアルと商環とユークリッド整域の商環

群・環・体の本を読んでいるのですが、有限体の解説を読むのに苦戦しておりまして、最近ようやく方針が見えてきたところであります。

ですから、もう少ししたら理解できるはずですので、それは当ブログでも記事にまとめたいと思っているのですが、
あまりにも最近は数学のネタを書いていないので、つなぎとして商環の話を。

今回は自分で考えたこととかじゃなくて、完全なる本の受け売りなのですが、今後、有限体についてまとめるときに使う知識ですので、閲覧者の皆様にもあらかじめ知っておいていただければ話が早いと思います。


まず、ある条件を満たす環の空集合でない部分集合をイデアルと呼びます。
条件というのは、環RとイデアルI⊆Rについて

1. a∈I かつ b∈I ならば a+b∈I
2. a∈Iな らば -a∈I
3. a∈I かつ b∈R ならば ab∈I

の3つです。
3.はIについて閉じていると言っているわけではなく、bはRの要素であればabはIの要素であるという、さらに強い条件を主張していることに注意してください。

3.によると0∈Rなので、a∈Iとなるaは必ず存在しますから、a0 = 0 ∈ Iです。
ですから、Rを群と見なすとすればIは加法について閉じており、逆元が存在し、単位元0が存在していますので、IはRの部分群となります。

さらに、ここで扱っている環は加法について交換法則が成り立つ可換環を想定しているのですが、そのためIがRの正規部分群であることは明らかです。


さて、任意のa∈Rの倍元全体の集合{ab | b∈R}を(a)と表記するのですが、これがRのイデアルであることは、条件と照らし合わせてみると分かると思います。
このようなイデアルをaによる単項イデアルと呼びます。




ここで、環RとイデアルIにおいて、a∈R, b∈Rについてa + (-b) ∈ Iならばa ~ bという関係~をRの間に導入します。

群論において群と正規部分群において、このような関係を導入したときに、これは同値関係であることが証明できますので、
環Rを群、イデアルIを正規部分群と、それぞれ見なせたわけですから、関係~は同値関係です。

なお、詳細な説明は省略しますが、この同値関係は加法と乗法に関して“両立”します。
要するに、じゃあどうなるかというと、Rから関係~に基づいた同値類系を作ったときに、これにも加法と乗法を矛盾なく定義することが可能で、
さらに単位元と逆元の存在、結合法則、交換法則、分配法則が成り立つことは簡単に確認できます。

つまり、この同値類系は、これ自体が環になります。
これをRとIから構成した商環と呼び、R/Iと表記します。

例えば整数環Zと単項イデアル(4)において、Z/(4)は環となります。
この要素は
{4n | n∈Z}, {4n + 1 | n∈Z}, {4n + 2 | n∈Z}, {4n + 3 | n∈Z}
の4つです。
4n + 4 = 4(n+1)で、n+1∈Zですから、{4n + 4 | n∈Z} = {4n | n∈Z}みたいな感じで、すべての要素は上記の4つで表せます。

ちなみに環RとイデアルIの話ですが、件の同値関係においてa∈Rを含む同値類は(I + a) = {x+a | x∈I}で表せることが、これも群論の範囲で証明できます。

つまり、Z/(4)の要素は
((4) + 0), ((4) + 1), ((4) + 2), ((4) + 3)
の4つで書き表すことも可能です。


さてさて、ここまでは下記の定理を述べるための準備です。
環Rをユークリッド整域に限定し、Rの素元pによる単項イデアル(p)を考えます。

このとき商環R/(p)を定義できるわけですが、実はこれは環どころか体になります。

整数環Zはユークリッド整域であり、Zの素元とは素数のことなので、例えばZ/(7)は体であるわけです。

それでは具体例を省いて、一般的に証明してみましょう。
本の受け売りですが…。

まず、ここまで具体的に指摘していませんでしたが、
商環R/Iの加法の単位元は(I + 0)、乗法の単位元は(I + 1)であることが確認できて、
R/Iでは
(I + x) + (I + y) = (I + (x+y)), (I + x) × (I + y) = (I + xy)
というふうに加法と乗法を定義します。


さて、R/(p)において加法の単位元は((p) + 0) = (p)ですが、任意のc∈Rを含む同値類((p) + c)がR/(p)における加法の単位元にならないと仮定します。

つまりそれは、cを含む同値類が(p)ではない、よってc ∉ (p)を意味しますが、(p)はpの倍元全体の集合ですので、cはpの倍元ではない、ということになります。

pは素元ですので、ユークリッド整域ではcが素元pの倍元でないとき、cとpは互いに素である、つまり最大公約元が単元であるということが証明できます。


よってユークリッド整域における事実として、不定方程式
cx + py = 1
はcとpの最大公約元が1を割り切りますので、解が存在します。
解の1組をa,bと置くと、
ca + pb = 1という等式が成り立ちますが、変形して
ca - 1 = -pb = p(-b)です。
p(-b) ∈ (p)ですから、ca - 1 = ca + (-1) ∈ (p)、つまりca ~ 1です。

乗法の定義より((p) + c) × ((p) + a) = ((p) + ca)で、ca ~ 1なので((p) + ca) = ((p) + 1)です。
よって((p) + c) × ((p) + a) = ((p) + 1)、乗法の単位元です。

つまり((p) + c)が加法の単位元でないと仮定すると、((p) + a)という乗法の逆元が存在します。
そのためR/(p)は体となります。



だいぶ書くのに時間を要しました…今日はここまで。(圧倒的教師感)

このユークリッド整域という、しょせん環に毛が生えた程度の存在のものから体を構成できるというのは、定理を学んだとき感心しましたね~。
本の著者の先生もお気に入りの定理だと書いていました。


余談ですが、ユークリッド整域においてイデアルとなりうる部分集合は単項イデアルしか存在しません。
イデアルが単項イデアルであるしかありえない環(厳密には整域)のことを単項イデアル整域と呼ぶのですが、つまりユークリッド整域であるなら単項イデアル整域であるということです。

この証明も、記載しませんが感心しました。
自力では到底、思いつかない。


さて、ここから、ようやくユークリッド整域となる多項式環から体を構成することにより、任意の体に新しい要素を添加して体を拡大する話ができるのですが、
そこからさらに現在、勉強中の有限体の話につながります。

最終目標は有限体について学んだことをまとめることなので、その前に多項式環による体の拡大の話が必要ですから、ぜひ近いうちに、それについての記事を書いておきたいですね。

実は今回そこまで話しておきたかったのですが、わりと労力を要するもので、最後に定理をひとつ紹介するだけで諦めました。


そして有限体の解説の理解に尽力したいと思います。
乞うご期待!

tag: 数学 勉強 同値 イデアル 群環体 ユークリッド 関係 集合 素数 証明

コメント

2018/03/31以降はコメント、トラックバック不可です。

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
http://cyberboy6.blog.fc2.com/tb.php/530-36c1fb57
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

当ブログをご利用(閲覧等)になる場合は必ず「当ブログの利用規定」をお守りください。