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多項式の商環による体の拡大

前回記事「イデアルと商環とユークリッド整域の商環」で紹介した知識をベースに、予告していたとおり続編にあたるものを今回は書きます。

有限体については完璧に読み解くことが出来ました!
というわけで、それはまた今度まとめたいと思います。
まずは今回の話をしないと、有限体も理解しづらいですからね。


多項式の変数Xに係数環(係数体)の要素を代入すると、多項式として全体の計算結果を得ることが出来ます。
ここで、係数環(係数体)に含まれない要素を代入できないかと考えてみます。
(以後、係数は体に限定して話を進めます。)

そのためには、その要素γと係数体Kの要素の間で加算と乗算が可能でなければなりませんので、要するにKを部分集合にしており尚且つγを含む大きな環が必要です。

別に複素数体を想定しているわけではないですが、その環をCと名付けることにします。
K⊆C、γ∈Cですが、ここでCの加法、乗法はKの中ではKの加法、乗法と一致していなければなりません。

となると単位元は一致しますし、KはCの部分体とでも言えるんですかね。
そこまで本に書いていないので、よく分かりませんが。
あくまでCはKを拡大したものです。
この条件は満たしてないと論理的に矛盾するわけではないのですが、今から行う体の拡大の趣旨に反します。




さて、このような計算の枠組みCを用意した上で、係数体Kの多項式

f(x) = 4x^2 + 3x - 5にγを代入してみます。
f(γ) = 4γ^2 + 3γ - 5

これだけなのですが、場合によってはγ^2 = 7みたいに乗算が定義されているかもしれないので、その場合はf(γ) = 4*7 + 3γ - 5 = 3γ + 23となりますね。


次に、このように係数体Kの多項式すべてについてγを代入した集合を考えます。

K[γ] = { f(γ) | f(x) ∈ K[x] }

このK[γ]は実はKにγを添加した環で、その中の必要最低限の環となります。
多項式というのがそもそも、加算と乗算の操作を式にしたものですから、すべての操作の結果がK[γ]に含まれているわけで、閉じているということになります。

K[γ]にはγを何乗した項も含まれているかもしれませんが、先ほど提示したようにγ^2 = 7みたいな次数を下げられる関係があれば、この場合では
K[γ] = { aγ + b | a,b∈K }
みたいにγの最高次数が制限されます。


それでは、ここで唐突に衝撃的な定理をぶち込みます。

定理: ある既約多項式f(x)∈K[x]についてf(γ) = 0を満たすなら、K[x]/(f(x))はK[γ]と同型である。

この証明の前にまず補題を証明します。


補題: ある既約多項式f(x)∈K[x]と、ある多項式g(x)∈K[x]がf(γ) = 0でg(γ) = 0ならば、g(x)はf(x)で割り切れる。

まずK[x]はユークリッド整域ですので、f(x)とg(x)の最大公約元d(x)を考えると、f(x)は既約多項式ですからc∈K[x]を任意の単元だとすると、f(x)の約元はcまたはc*f(x)しかありえません。
よってd(x)もcまたはc*f(x)しかありえません。

ここでユークリッド整域の性質からd(x)はf(x)とg(x)の最大公約元ですから当然それで割り切れますので、不定方程式

f(x)*v(x) + g(x)*w(x) = d(x)

は解v(x),w(x)を持ちます。
この等式
f(x)*v(x) + g(x)*w(x) = d(x)
にγを代入してみると、条件からf(γ) = 0, g(γ) = 0ですので
d(γ) = 0が導かれます。

d(x) = cであったと仮定するとd(γ) = cでcは0でないですが、実際にd(γ) = 0であったので矛盾するため、d(x) = cはありえません。
よってd(x) = c*f(x)です。

つまり、g(x)は約元にc*f(x)を持つので、c*f(x)の約元であるf(x)はg(x)の約元です。
よってg(x)はf(x)で割り切れます。


さて、それでは、本命の定理を証明しましょう。
いや、受け売りですが…。

K[x]/(f(x))の要素を、なんらかの多項式g(x)を使って((f(x)) + g(x))で表すことにします。
(これで表せることは前回記事でも述べましたが、群論の範疇で分かります。)

ここで((f(x)) + g(x)) = ((f(x)) + h(x))であるならg(γ) = h(γ)が成り立ちます。
なぜなら、g(x)とh(x)が同じ同値類に属している、すなわちg(x)~h(x)ということは、この同値関係の定義からg(x) - h(x)はf(x)で割り切れます。
つまり、あるa(x)についてg(x) - h(x) = a(x)*f(x)ですから、この等式にγを代入するとg(γ) - h(γ) = a(γ)*f(γ)で、条件よりf(γ) = 0だったので、g(γ) - h(γ) = 0、よってg(γ) = h(γ)です。

このことから、((f(x)) + g(x))からg(γ)へと対応させる写像が矛盾なく定義できることが分かります。
(写像は当たり前ですがa = bならばφ(a) = φ(b)でなければなりません。)

このK[x]/(f(x))からK[γ]への写像をψ((f(x)) + g(x)) = g(γ)と定義すると、K[γ]の任意の要素はg(x)を使ってg(γ)で表せますので、g(γ)には((f(x)) + g(x))が対応していますから、ψは全射です。


続いて先ほどの逆、g(γ) = h(γ)であるなら((f(x)) + g(x)) = ((f(x)) + h(x))が成り立ちます。
g(γ) - h(γ) = 0ですから、補題より多項式g(x) - h(x)はf(x)で割り切れるはずです。
よってg(x)~h(x)です。

つまり、ψ((f(x)) + g(x)) = ψ((f(x)) + h(x))、すなわちg(γ) = h(γ)であるなら、((f(x)) + g(x)) = ((f(x)) + h(x))であり、ψは単射です。


以上のことからψが全単射であることは証明できました。

続いてψが同型写像であることを示すには、ψが準同型写像の定義を満たしていることを証明しなければなりませんが、これはψの定義に則って機械的に計算すれば示せるので省略します。

なにより私が読んでいる本でも、そのような理由で省略されていました。
実は私も計算で確認してみたことないんですけどね…。


ところで、K[x]はユークリッド整域で、f(x)∈K[x]は既約多項式、つまりユークリッド整域における素元です。
よって、(f(x))は素元による単項イデアルでありますから、K[x]/(f(x))は前回記事で示したとおり、体になります。

そして、K[x]/(f(x))とK[γ]が同型であり、体と環同型である環は実は体であることが証明できます。

つまり、どういうことかというと、K[γ]は体なのです。
まあ、Kだけに対象を絞れば、これは体なので問題ないですが、

γの逆元は!?より一般にg(γ)の逆元はどこにあるんだオイ!!!???

と思う気持ちは分かります。
ただ論理的に証明されている以上、納得するしかないんですね。


具体的にどういう現象が起きているのかというと、たとえば実数体Rに虚数単位iを添加した複素数体Cを考えてみますが、

1/iはi/i^2 = -i、一般にg(i) ∈ R[i]はi^2 = -1という関係によって、g(i) = a + b*iと表せますから、g(i)の逆元は1/(a + b*i)です。

しかし、こいつの分母と分子にg(i)の共役複素数を乗算してやると(a - b*i)/(a^2 + b^2)となって、分配法則によりa/(a^2 + b^2) + (b/(a^2 + b^2))*iです。

ここでa/(a^2 + b^2),b/(a^2 + b^2) ∈ Rですから、結局こいつをc,dとおいて、
g(i)の逆元をc + d*iと、R[i]の要素で表せてしまうんですよね。

任意の分数g(i)/h(i)についても、h(i)の逆元にg(i)を乗算したものですから、両方ともR[i]の要素なので、これはR[i]の要素であり、分数を使わずとも表せるということです。


まあ、複素数体に限らず一般的に、そんなようなことが出来てしまうということを証明してしまったわけです。
というわけで、多項式環(ユークリッド整域)によって体の拡大が出来るという話でした。


これで有限体で私が話したいことを話す前に知っておいてほしいことは、だいたい書いたので、次回は有限体について書きます。

とは言っても、大部分は省略しますけどね。
私が理解に戸惑ったところを、最終的にどのように理解したかを、まとめるだけです。

早ければ来週には書きたいですね。

tag: 数学 群環体 証明 集合 素数 勉強 ユークリッド 同値 写像 複素数

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